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2010'06.23 (Wed)

蝦夷浜(えぞはま)

昔、狩りや釣り、山菜や海藻を採取して暮らす蝦夷(えみし)と呼ばれる人たちが男鹿に住んでいた。酋長は鬼王丸、その息子は小鬼丸で、二人とも心優しく、みんな平和で楽しく暮らしていた。
 そのころ、蝦夷をその配下とするために、南の方を支配していた大和朝廷が、東北地方を次々と征服し、男鹿にも攻めてきた。
 大和朝廷の坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が率いる軍は、雪が降り積もっている中ではあったが、戦い慣れている上に、多勢であったので、蝦夷はたちまち入道崎に追いつめられてしまった。

 男鹿蝦夷の血と知恵が消えてなくならないように、小鬼丸は女、子供と老人を船で逃がすことにした。
 丸木舟が矢のとどかない沖へ出るまで、小鬼丸と若者たちは最後の力をふりしぼり、崖の上で戦った。小鬼丸の妻は、船に乗ることを拒否し、夫とともに戦った。

 傷つき血だらけになった小鬼丸たちは、雪の中、船が沖へ離れていくのを確認すると、つぎつぎに崖から海へ身を投げた。

 蝦夷が涙で船出した海辺は「蝦夷浜」と呼ばれ、ハマナスの赤い花は、蝦夷が流した血の涙だと伝えられている。
 男鹿では、お盆にハマナスの赤い実を仏壇に供える風習が今でも残っている。


■ ■ ■ ■ ■

 上記のような昔話が残っている一方、坂上田村麻呂に関する好意的な伝説もいくつもある。戦いのあとに、朝廷側の人間が移り住んだということもあるだろう。

 実際には、田村麻呂自身は遠征してこなかったし、田村麻呂配下の軍は蝦夷をすべて皆殺しにもしなかった。


■ ■ ■ ■ ■

 次のような昔話も伝わっている。
 坂上田村麻呂が男鹿に攻め入ってきたときは、冬で、兵糧も馬の餌もなくなってしまった。腹の空いた馬たちは、海岸に打ち上げられた海草を食べ始まった。それを見ていた兵は、馬が食べられるものなら人間だって食べてもなんともないはずだと、口にすると、この海藻がおいしかった。
 田村麻呂将軍も食べてみると、たいへんうまいので、その後、この海藻を「人馬草じんばそう」となづけて毎日の食料にした。
 それが、現在のジバサ(ホンダワラ)だという。

 この話は逆の内容だったのかもしれない。
 平城京に都があったころの、貴族の食事を再現したものをみると、神馬藻(じんばそう)の汁がすでにある。だから、よりあとの時代の朝廷軍はホンダワラが食べられることを知っていたはずである。
 遠征してきたときには、男鹿半島ではホンダワラを食べなかったが、朝廷軍が喜んで食べるのをみて、食べ始まったということかもしれない。


■ ■ ■ ■ ■


 ハマナスの赤い実を仏壇に供える風習には、以前から明瞭な形ではなかったが、どこか違和感をおぼえていた。
 そしてある疑問が起きてきた。

 勝者は敗者の財宝を奪うだけでなく、その宗教を含めた文化をすべて消し去ってしまう。その征服者がハマナスの実を蝦夷のために仏壇に供えるのだろうかということである。たしかに、大和朝廷は征服しても、被征服者が信じていた神を新しくつくった神社に合祀し、抵抗がより少ない形をとったし、ヤマトタケルが征討したクマソタケルの名前を自分につけたりしたのだが、ハマナスの実はそういう話とは別な感じがした。

 たとえ昔話だとしても、なにか意味があるはずだろう。次のようなことだったのかも知れない。

 ほかの戦いと同じように男は皆殺しされ、女は征服者の集団の中で暮らすようになった。冬の荒れた日本海を、舟で沖へ去ったのは、女たちの幻影ではなかったろうか。だとすれば、仏壇にハマナスの実を供えて祈ることも矛盾しない。

 蝦夷は「えみし」、あるいは「えぞ」と読むが、アイヌのことではない。

参考:
 「男鹿の昔ばなし」 男鹿市教育委員会
 「平城京再現」 奈良国立文化財研究所

http://www3.ocn.ne.jp/~kmitoh/gensou/akasima.html
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